共用部の空気環境 —「測定日は基準に入る」で終わらせない
延床 3,000 m² を超える店舗は特定建築物にあたり、空気環境の測定は2 か月以内ごとに 1 回です。年 6 回の記録は残りますが、それはその日その時刻の点です。休日の昼に吹き抜けで CO2 がどこまで上がったか、冬の入口付近が何℃まで下がったかは、どこにも残っていません。同じ量を連続で測れば、基準を外していた時間が出ます。
現場の困りごと
館を預かる現場でよく聞く 3 つ測定日は基準に入るが、それ以外の日が分からない
測定は 2 か月以内ごとに 1 回。測定の日に合わせて空調を強めることもできてしまうので、記録は通っていても「ふだんどうなのか」は誰も持っていません。苦情が来たときに、そのときの数字を出せません。
吹き抜けと入口付近だけ、いつも苦情が出る
吹き抜けは上の階の熱が上がって滞留し、入口付近は自動ドアが開くたびに外気が入ります。同じフロアでも場所で差が出ますが、測定点は限られているので、差そのものが記録に残りません。
換気を増やすと電気代が増えるので、加減が分からない
外気の取り入れを増やせば CO2 は下がりますが、その分の熱を空調で処理します。「どれだけ増やせば基準に収まるのか」が数字で分からないと、安全側に振って回し続けることになります。
管理基準と、測れる項目・測れない項目
2022 年 4 月の改正後の値建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の管理基準は 7 項目です。このうち当社の構成で同じ量を連続で測れるのは 5 項目で、一酸化炭素と気流は、当社が扱っている機器に該当するものがありません。先にここをはっきりさせておきます。
| 項目 | 管理基準 | 連続測定 | 使う機器・補足 |
|---|---|---|---|
| 二酸化炭素 | 1,000 ppm 以下 | できる | AM308(400〜2,000 ppm)/ AM307(400〜5,000 ppm) |
| 温度 | 18〜28℃ | できる | AM307 / AM308 |
| 相対湿度 | 40〜70% | できる | AM307 / AM308 |
| 浮遊粉じん | 0.15 mg/m³ 以下 | 参考値として | AM308 の PM2.5 / PM10。法定測定の方法とは別(下の注記) |
| ホルムアルデヒド | 0.08 ppm 以下 | できる | AM319(HCHO 版・USB Type-C 給電。新装・改装区画に) |
| 一酸化炭素 | 6 ppm 以下 | できない | 当社が扱う機器に該当機種がありません |
| 気流 | 0.5 m/s 以下 | できない | 微風速計が必要です。該当機種がありません |
出典: 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」ほか。2022 年 4 月 1 日施行の改正で、一酸化炭素は 10 ppm から 6 ppm に、温度の下限は 17℃ から 18℃ になりました。改正前の数値が載っている資料がまだ多く流通しているため、本ページは改正後の値で書いています。喫煙専用室に求められる出入口の気流 0.2 m/s 以上については、ビルの差圧(煙突効果)のページで扱っています。
なぜ共用部から始めるのか
テナント区画に入らない範囲館の中には、施設を預かる側だけで決められる場所と、テナントとの調整が必要な場所があります。モール通路・吹き抜け・風除室・トイレ・フードコート・バックヤードは前者です。ここだけで始められるので、話が早く、効果の確認も早くなります。テナント区画の温度や厨房の記録に広げるのは、共用部で動いている画面を見せたあとのほうが通りやすくなります。
見えるようになること
- 区画ごとの温湿度と CO2 を連続で。苦情があった時刻の値をその場で出せます
- 管理基準を外していた時間。区画別・時間帯別に出るので、手を打つ場所と時刻が決まります
- 吹き抜け・入口付近・フードコートの差。同じフロアの中の偏りが残ります
- 外気の取り入れを増やしたときの下がり方。増やす量の加減が実績で決まります
- 新装・改装した区画のホルムアルデヒド(AM319 を足した場合)
使う機器
Milesight AM307 × 2(CO2 の範囲を広く取りたい場所。400〜5,000 ppm)
Milesight AM319 × 1(任意。新装・改装区画のホルムアルデヒド。USB Type-C 給電)
Milesight UG65 × 1(LoRaWAN ゲートウェイ)
空調I/F(連動させる段階で。空調メーカーの通信線、または接点 / Modbus)
AM307・AM308・AM319・UG65 は技適取得済みです。AM307・AM308 は電池式で、貼り付けか置くだけなので工事は要りません(AM319 は USB Type-C の給電が必要です)。ゲートウェイの台数は電波状況で変わるため、必要な台数は、Step 2 でセンサーを設置するときに電波を測って確定します。
置き場所の決め方
館の中で外れやすいのは決まった場所です- 吹き抜けに面した上の階 — 下の階の熱と人の呼気が上がって滞留します。館の中でいちばん外れやすい場所です
- 風除室の内側 — 自動ドアが開くたびに外気が入ります。冬の温度、夏の湿度がここで振れます
- フードコート — 席が埋まる時間帯に人の密度が上がります。厨房の排気が効いていると逆に負圧になります
- ガラス面の近く — 日射で温度が上がります。測点がないと「空調が効いていない」という話になりがちです
- 法定測定の測定点の近くにも 1 点置きます。測定日の値と並べられるので、連続測定の値の読み方が決まります
センサーは電池式で、両面テープかねじ止めです。高い位置に付ける場合の取付作業は、高所作業になるため専門業者に依頼します(費用は別途です)。
関連する画面
同じ構成で組み合わせられます御社の共用部で、外していた時間を出してみませんか
フロアの平面図(手書き可)と、測定で引っかかりやすい場所・苦情の多い場所を教えていただければ、測り方と機器構成をお出しします。デモ画面の作成は無料です。そのあと実際にセンサーを取り付けて数字を取る段階も、機器の貸出と初期設定は無料です。取付作業の費用と、遠方への出張については個別にご相談ください。
